中学校3年くらいになると、進路を本格的に決める時期になります。このころ画家になろうと決めた、ひとつのきっかけがあります。それは画家ゴッホとの出会いです。もちろんこのときゴッホはこの世にいませんから、ゴッホの生き様に出会ったというのが正しいのだと思います。今となっては記憶が曖昧ですが、ゴッホの生き様に関する本かテレビ番組に触れ、大きな衝撃を受けたように覚えています。
20代後半から僅か10年の間で、あれだけの質と量の作品を生み出したこと。37歳でこの世を去り、その死因が銃を使った自死であったこと。弟テオに宛てた最後の手紙の中で彼は”絵に対して命をかけ、そのために理性は半ば壊れてしまった”と記しています。15歳の私はそれらに衝撃を受け、憧れました。そのときの私は、ゴッホの”純粋さ”に惹かれたのだと思っています。その純粋さは純度を高める過程で、ある種の狂気のようなものを帯びていった。
私は今も、その狂気のようなものに恐れながら、同時にその純粋さに憧れを持ち続けているのです。